2010年7月30日金曜日

医療法人化 医療法人 社団 窪田歯科

4月1日より、個人で経営していた「窪田歯科医院」が法人化して「医療法人 社団 窪田歯科」になった。医療法人にした目的は医療サービスの提供の高度化だ。

個人経営だと院長個人の才覚だけで医療サービスを提供してゆく事になる訳だけれども、これでは院長の身に何か問題が起こった場合には患者さんが放り出されてしまう。これでは如何にも無責任だし、サービスの質ももうひとつだ。

医療法人になった場合には医院の財産や組織と院長個人は分離されるので医療サービス提供が安定化される。(という建前になっている)

しかし今回私が実際に体験してみて医療法人の設立根拠法である「医療法」の形骸化と硬直化が著しく、この点でも医療の崩壊が進んでいることを実感する事になった。

医療法人は非常に歪んだ制度で、まともな法人とは言えないのではないかと思う。この制度は存在しないよりは多少はマシといった程度であって、本当に国民の健康を守り増進してゆくためにはかなりの制度改革を行わないと役に立たない。

医療法人の駄目なところは次のような点だ。

1.コーポレートガバナンスの仕組みが非常に脆弱。
→このため悪意のある人が居た場合、勘違いや運用のミスで簡単に乗っ取られてしまう。
2.財産権に関する哲学が歪んでいる。
→高度医療を提供するのに必要な資金調達はできない。
→お金を出してもなんの見返りもないので、単なる寄付行為になる。これは乞食根性だ。
3.健康保険制度に依存しすぎている。
→健康保険制度自体が非常に運営が悪くなっているので医療法人も駄目になる。
4.税法などの支援がまったく無い。
5.経営の自由が保障されていない。
→いちいち当局にお伺いを立てないと経営が進められない
→このため経営速度が遅くなる。
6.法の理念とは異なって院長個人の保証がなければ借入金も起こせない。

4.5.はセットでかなり問題だ。というのも責任と自由度は付随するべきなのに医療法人では自由を奪われているのに責任は減らない。これは規制のための規制に過ぎず、医療を推進しない。

医療法人を取り巻く環境はこのように全然駄目駄目なのだ。そこで日本の医療の発展は医師の善意によってのみ推進され、しかもその医師たちの力は刻一刻奪われいる。日本の医療はどうなるのだろうか?

医療法人のしくみは抜本的な改革が必要だ。

(文:窪田 敏之)