2011年7月15日金曜日

チタンメッシュ法による歯槽骨造成法(その1)

インプラントで患者さんの骨の量が不足する場合、メンブランを使用して骨の増殖方向と粘膜の増殖方向を制御することによって骨を造成するやり方(GBR法)はわりと一般的だ。

しかし、実際には非常に複雑な術式と数ヶ月の待ち時間、多大な費用をかけても復活する骨の量は精々2-4mmと、まぁやらないよりは良いけれども、全面的に頼れるかというとそうでもないような微妙な術式だ。

しかもメンブランは多くの場合バイオイナートで生体とは殆ど干渉しない。このため固定に難があり、スリップして膜が口腔内に露出する、など面倒なトラブルの種になりやすい。

メンブランによるGBR法の要点は治癒も増殖も速い上皮細胞(粘膜)の傷口への侵入を阻止し、成長の遅い骨組織が伸びてくるのを待つ、という意味合いでの「ティッシュ・コントロール」だ。ここで、最近チタンメッシュを活用した術式が台頭している。チタンメッシュをあたかもメンブランのようにして使うのだ。

チタンメッシュがメンブランと比較して大きく優れているのは三点。

1.耐圧性があるので、骨形成に必要な空洞を長期間保つことができる
2.生体親和性が良い
3.賦形性に優れ、加工が容易で手術も比較的簡単

先日のセミナーで見せてもらった症例では、これまでの常識では絶対に治せないと思われるケースでも続々インプラントを成功させ、ここまで劇的に回復するものかと驚かされたものだ。

この治療法、非常に先進的で日本ではもちろん、世界でもこなしているインプラント医はまだとても少ないと思われる。しかし今目の前で困っている患者さんを、チタンメッシュ法を使用すれば救えるかもしれない。

私もまだ実習をしただけなので、初めは身内からやってみようと思う。しかし実際術式はそれほど複雑でもなく簡単だと思う。それにつけてもこういう新術式を初めて思いつく医者は立派だと思う。以前よりも術式が簡単になり、その上治療効果がでるのだから素晴らしい。

(つづく 文:窪田敏之)

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